
こちらにご興味を持っていただいたということは、ひょっとしたらご自身でチェックされたり要点をお知りになりたい方とお見受けします。そういった方にも参考になれば幸いです。まずはレベニューマネジメントとは何か、ということです。そもそもは航空業界で始まったと言われ早期割引による価格操作が起源と言われていますが、それだけ聞くと今となれば航空業界やホテルだけでなくさまざまなところでごく一般的に行われていることがわかります。それだけにほぼ全ての業種に当てはめることもできる反面、さまざまな方が携わることで本来の趣旨と違うことも平然と行われているのも現状です。
最大の目的は収益の最大化をすること。
筆者がレベニューマネジメントに関わるようになった時に当時の総支配人に言われた言葉を今でも覚えています。「お前は航空機関士のようなものだ、自機の状態をきちんと把握しきちんとホテルを正しく目的地まで運行できるようにガイドしろ」と。時代の違いもあり今は職業としては姿を消しつつありますが「航空機関士」と言うのは飛行機で機長と副機長に加えてもう一人飛行機の数多い計器やフライトを最適化する微調整を行なっていた役割です。エンジンの回転数や各計器からの情報をもとに最適な飛行をアドバイス・調節する役割です。燃費を抑えつつ時間的にも機体の負荷も様々な事項を把握して最適化する仕事。要するに安全と飛行効率の最大化をしていました。
目的地というのはホテルで言えば予算や長期事業計画。要するにレベニューマネージャーは無駄に高度な技術的なことをしなくともきちんと施設や会社の状態を把握し、予測や論理的なアプローチによってきちんと予算実績管理、収益の最大化に貢献すると言うこと。きちんとレベニューマネジメントしている方は料金を変えるときでも、プロジェクトを行うときもきちんと収益改善見込みも効果も測定してきちんと自分のアクションでどの程度の収益改善ができたかどうかを説明できるものです。そもそも名ばかりのレベニューマネージャーでない限り自身のアクションでもたらした利益の推定ができてどれだけ組織に給与以上の価値を提供できているか把握しているものです。今日はそんなレベニューマネージャーがいるいないにも関わらず勘違いされがちなレベニューマネジメントのポイントをご紹介したいと思います。

1.価格操作をすることに大半の時間を費やしている。
冒頭にも申し上げた通り、割引価格やダイナミックプライシング(変動性の料金)によってレベニューマネジメントが成り立っているのは間違い無く、一つの重要な要素です。ただし、色々お話を伺うと業務の大半を価格操作に時間を費やすレベニューマネージャーも少なくなく、筆者の自分もレベニューマネジメントと見習って始めていた頃はそうでした。何しろ悩むことが多い。考え始めるとキリがない。これは価格を変えた時にどの程度の効果を見込むか、単純に情報不足であることや判断基準がブレたり曖昧になっていることから生まれます。
レベニューマネージャーが一人で悶々としつつ難しそうな顔をして手が止まっている瞬間の一つはこういうタイミングかもしれないですね。しかもそれが記録に残されているわけではなく一人の曖昧な判断から生まれることからどんどんレベニューマネージャーが属人的になってしまいます。
大事なのはレベニューマネージャーを専門家として評価しても、決して一人ぼっちにさせないこと。判断基準や効果測定、場合によっては合議で考え方を共有してこそ組織としてレベニューマネジメントを効果的に行うことができます。
仮に価格操作で業務時間の80%使ってるのに、売上の2%しか貢献できないのであればよほど大きなホテルでもない限り利益に見合わないかもしれません。他にもっとすべきことがありそうですね。
次によくある間違いは
2.周囲を気にしすぎる
先ほども申し上げた通りレベニューマネージャーは意外にも孤独です。孤独が好きな方もいますが申し上げたいのは孤独の良し悪しではなく、情報に対して敏感であるべきでもあるレベニューマネージャーが、噂や偏った見方を主な情報源にし続けると、収益の最大化どころかどんどん収益を押し下げることにもなりかねません。
例えば周辺の競合の価格、今では目視だけでなく専門のツールで競合の価格をチェックする施設も少なくありません。しかしながら価格決定をする際に他社価格そのものだけしか情報源がないとどうしてもその価格に対してどうしようとか、近視眼的にそこしかみなくなってしまい、自社の状況より他社の事情を優先しかねないことになります。
自社の稼働率が想定よりも高いにも関わらず他社の料金を気にして値上げができない、逆も然りです。それではせっかくの料金設定も最大限活用できません。
価格追随型の価格操作も全て否定するわけではありませんが、わざわざ一人レベニューマネージャーを高額で雇ってすることではないかもしれませんね。
でもその原因となりうる一つの間違いが次の項目

3.社内外の情報がレベニューマネージャーに共有されない
レベニューマネージャーは価格の操作が仕事なのではなく、収入の元となる需要を創出したり見つけてきて取り込みを図り、お客様の流入からご宿泊までの転換率を最大化し、転換率を維持しながら最小限のコストに抑えるか次なる収入の元となる投資を行いお金の循環を最大化する仕事に他なりません。結果として価格の操作の責任を持つことが多いですが、要するにどんな情報でもこのフローの中に影響があるものは全て有益なものになります。
情報が共有されない一つの理由はレベニューマネージャー本人による理由。話しかけづらかったり、年長や役職的な恐れ多さだったり、忙しいオーラを出していたり、さまざまですがアンテナを建前上張っていてもアンテナを使っていないパターンです。ずっとレポートやExcelと友達かのように接するのに、ミーティングも発言少なくただその場にいるだけだったりチームに対しては情報を集める機会を率先して作っていない方々も少なくないのではないかと思います。
次は組織としてレベニューマネージャーを「よくわからないけど専門的なことやってる気難しい人、でも料金とか操作してる人らしい」ぐらいにしか思ってないケースです。そうなると肝心な情報もレベニューマネージャーに入ってくることもなくせっかくのビジネスチャンスが見つけられず結果として価格に関することしか業務としてしないような事態になってしまいます。
レベニューマネージャーが情報もビジネスも中心的な役割の一人として情報共有と議論ができるとそれだけビジネスは加速します。
あ、ちなみにレベニューマネージャーというタイトルの方が皆さま収益を総合的に判断できる訳ではないというのも現実です。会社によっては価格操作担当者レベルでレベニューマネージャーというタイトルで募集したり、任命することも少なくないからです。新規でレベニューマネージャーの新設や採用する場合には責任レベルをしっかり決めることをお勧めします。
4.満室を成功として褒める
満室がダメとは言いません。一つの結果であり、そこに向かう努力は理解できます。しかしながらもっと高く売れたのではないか、ということを一番顕著に示す合図でもあります。もちろん売れるものをみすみす売り逃してしまったのでは意味がありませんし、満室になったものを叱責するのも違いますよね。でもここを第一義として大きな目標として掲げるにはいささか疑問が残ります。
過去経験しているホテルで聞いた話で満室にするとボーナスが一人500円出ていたとか。そのために確実に満室にするために値下げしたりすることが横行したり、満室にするということは当然コストも最大化してしまうわけです。これでは本末転倒。
満室を一番の反省しやすい課題としてどこでさらに販売機会を作れるか。ということにあります。
・稼働率が上がっていく中で客室タイプを販売停止にしたことによる販売機会損失はいくらか。
・販売価格を直前で下げるようなことをして強引に満室にしてないか。
・同じ日にX%稼動を下げてX%ADRをあげて同収入で収益率を上げるにはどうしたらいいか。
・その日の販売開始時から満室に至るまで販売先や宿泊プランなどの機会損失はなかったか。
などなどいくらでもありますが、きちんとビジネスの評価をすることがレベニューマネジメントとして次の改善の糸口になりますし、これらの糸口から改善を実行することもレベニューマネジメント担当者の非常に重要な仕事です。

5.予算決定プロセスが曖昧
どんなビジネスも計画によってもたらされています。ないというなら作ればいい。しかしながらビジネスの計画なしにレベニューマネジメントをするということはチームが大きな目標の向かうことなしに皆さんは行動しなければならないことになります。飛行機が目的地なしに飛び立つことはないですよね。でもそうなってしまうとさらに運営は大変なことになると思います。
多くの方々は会社から無茶な数字を追わされていると言いながら日々その数字に取り組んでいらっしゃるのではないでしょうか。でもそれは目標もないことに比べたらとても幸せなことだと思います。ただし、その予算が課された、作成した時にどの程度の準備、および年間アクションを立てられましたか、ということが肝要です。
年間アクションなしに無理な予算は会社のせいにするというレベルではなかなかそのレベニューマネージャーも一緒に働くそのほかのチームの方も大変そうですが、レベニューマネジメントがうまく回ってない施設さんは往々にしてその日その日の忙しさの中で予算をきちんと事業として細かなアクションに落とし込んで計画的にやっていないことが多いです。
大事なのは売り上げや収益が予算レベルに行くか行かないかももちろん、今の取り組みでいくらぐらい予算達成まで足りないのかわからないまま忙しさの理由で直近の価格操作しかしない方々も少なくないという点です。そうすると当然ながら未達成で終わることが多く、さらに価格操作しかしていないので大した経験や成長もできないまま毎年時間だけが過ぎていくことになります。
6.基本的な料金体系が長期にわたって変わっていない
これは前の項目とセットにもなりうることですが、厳密には毎年料金体系を変えないといけないということではありません。ただし、毎年ホテルは環境もお客様も変化する中で営業しなくてはなりません。流行りもあれば予約の仕方も客層もどんどん変わります。それにもかかわらず料金体系が変わらないとどういうことが起きるでしょうか。売りたい価格と売れる価格にギャップが生じれば当然ながら予約を受注するときにむらや不具合を生じます。フロントでの作業も増え、無駄な労力やミスも発生します。そういった意味でも予算とセットだと方針が反映、打ち出されて明確になることが多いです。
筆者は幸い経験しているホテルでは少なくとも毎年料金表を変えていましたし、そうでない時も自分で変えてたり、場合によっては予算年の途中でも料金体系を変更していましたので不思議ではないのですが、これは大変な作業量でもあると同時により予算を達成を容易にし、現場の負担を低減するために行なっていました。しかし、思った以上に料金体系を長く変えない施設も多いのです。
当然時代に合わない料金体系で売れば価格操作も大変になるし、現場負担も増える。皆さまが忙しい忙しいとおっしゃるのは整備の行き届かない燃費が悪い車を頑張って運転しているようなもの。価格操作ではなく整備もたまにはしていただくと良いと思います。

7.売れるプランしか評価しない、そればかり作ろうとする
これも誤解がなきように、プランを作ることが悪いことではありません。今こうして筆者がブログを書いているように必要な人に情報が行き届くためにも、ホテルであれば滞在スタイルを提案したり、商品であれば顧客体験の期待値を上げたり活用幅を広げるためにプラン的なプロモーションは必要です。そして賛同してくださる方がご自身で適した宿泊プランや企画を選択して期待通りの滞在をしてくださるようにするのはとても大事なことです。
でも作ればいいという問題ではありません。どんなホテルでも会社でもヒット商品を連発するのは簡単なことではありません。ましてやホテルは客室の商売ですから品物を劇的に短期間で改善することは難しい。だからこそマーケティング要素が必要になるわけです。
「このプランは何のためにあるの?」
こんな質問をお仕事先ですることがあります。すると
「夕食付きプランを作ることになったので」
意図はわかります。なので、こう続けます。
「何でこの夕食の内容と価格になったの?」
すると
「うちの今の夕食メニューをお得に提供できるようにしました」
実際にお得かどうかはさておき、お得かどうかはお客さんが判断することなのですが、多くのホテルの宿泊や料金プランにはかなり「ホテル本位」の観点が含まれていることが多いですし、その観点しかないような販売方針の施設様さえいらっしゃいます。そして売れないと「どーせ売れない」となるわけです。
売れないプランと売れるプランはお客様が選択するかどうかの差しかないので、売れるかどうかはホテルには決定権はありません。なのにホテル本位に作っておきながら売れなければすぐやめる。ホテル本位で作って売れたらお客様目線の理由を考えず売れなくなるまで売り続ける。しかも場合によっては同じホテルのAプランからBプランに客層が移っただけで純粋にお客様が増えたわけでもないのにあたかもBプランで新たにお客様が増えたかのような実績報告をする方も少なくありません。
きちんと顧客目線、およびマーケティングとして宿泊プランを作って、売れなくてもマーケティング要素があるのであればきちんとプランに意味を持たせて管理するのもとても大事なことです。
8.基本的な指標が稼働率、ADR、収入額しかない
この点もよくあることです。社内指標のレポートが稼働率、収入(Revenue)とADRの一覧のみ。これも誤解がなきように付け加えると稼働率とADR、その他の基本指標が大事なことは間違いありません。しかしながら先ほどの予算の対策や料金体系の整備などもなくおもむろにADR上げたいとか稼働率を上げたいと思っても途中プロセスもなく勝手に上がるわけではありません。もちろん画面と睨めっこして頑張りました、真剣に取り組みました、などといって努力アピールでビジネスが改善するような甘い世界ではありません。
自社サイトの売上をいくら上げたら売上比率がXX%になるから3ヶ月でそうなるように頑張ろう。とか、ここのOTAのコンバージョンが低くてここにチャンスがありそうだから半年でYY%上げていくら売り上げよう。リードタイムが訪日の取り込みも増えて長期化できるから何月までに何日になるようにしよう。とか適切な指標設定と管理をするからこそ目標管理と着実な成長が可能になります。

9.代替案のない文句や不満が多い
一見これはレベニューマネジメントとは関係ないと思われるかもしれませんが、レベニューマネージャーとしてはビジネスの基本である収益の最大化をする目標は変わりません。その目標を目指すにあたっては、どんなに優れた手法を使ってお客様を獲得ようとしたところで、チームのサポートやクリエイティブなアイデアは欠かせないもの。それが無くしてお客様の滞在経験もスタッフの考え方もネガティブな施設は効果的なレベニューマネジメント活動が十分にできず、限度があります。それだけレベニューマネジメントを行うにあたってはチーム全体の質が大事なのです。優秀な人材一人だけでなしうるわけではありませんし、結局チームワークが欠かせません。
レベニューマネージャーが先頭に立って文句や不満を言うことはないかと思いますが、特に長く営業している施設や老朽化が進んだ施設で閉鎖的で負の連鎖に入ってしまっているホテルをよく目にします。もちろん老朽化そのものを魔法で新館に建て替えることはできませんが、スタッフのネガティブ度が高いホテルは基本的にレベニューマネジメントが行き届いていないホテルが多い傾向にあります。
これは前にも説明した社内の情報伝達に問題がある可能性もありますが、情報伝達だけではなく、組織内ですぐには解決できなかった問題点をビジネスとしてどう取り扱っているかという姿勢で現れています。そして投資するにもどう改善したらどの程度の効果が得られるのかなどが真剣に考えられないまま時間だけが過ぎていく。結果何か問題があれば何かにつけて他責し、チームの中で不平不満が行きどころを失って噴出してしまっていると言うことです。
優秀なレベニューマネージャーはよくホテルのコミュニケーションのハブになると聞きますが、こういったところでも効果的に不満や問題点を特定しビジネスチャンスに転換できるかどうかとい点からもレベニューマネージャーの質がわかってしまうかもしれませんね。
10.変化を嫌がる
なんだかんだ言ってもこれに尽きるかもしれません。レベニューマネージャーは変化を推進する役であっても変化から避ける役ではありません。会社やホテルがきちんと目的地に行けるように導けるように障害を取り除いたり、自らが変化することや組織を変化させていけるように力を発揮しなければなりません。本質的に重要であるものを大切にすることも必要ですが、新しい変化をどうやって取り入れてビジネスを成長させるかと言う視点はレベニューマネジメントでとても重要なポイントです。
なかなか長きにわたって勤めているレベニューマネージャーの方々も多いと思いますのでその中で絶えず変化を続けることはなかなか難しいこともわかります。
ただし、チャレンジなく成功も失敗もありませんので、新しいことにはどんどんチャレンジしていただき、皆さまのビジネスが実りあるものになりますように祈っています。

もしも「うちの会社大丈夫かな?」と思われたのであれば
一度深刻な事態になる前にご相談をお受けしています。
弊社は豊富な経験から併走型のコンサルティングを行なっています。今の世の中、来週突然大きな事件や事故でビジネスが変わることも少なくありません。にも関わらず皆さまは多忙な中でこのようなことを考えなくてはなりません。かつレベニューマネジメントに対する費用も少なくありません。こうした中でレベニューマネジメントをはじめ専門分野を外注する施設が急速に増えています。
仮に40万円の給料を払ってレベニューマネージャーを雇おうとしても社会保険、研修、福利厚生などを考えると毎月50万円以上の出費を退職まで払い続けることになります。採用コストも数百万かかることも採用までの間もビジネス損失は起き続けます。それであれば外注でさらに専門的見地から効果的なサポートを受けるのも重要な選択。国内外でも様々な会社が業務委託スタイルのサービスを提供、そして利用者も増えています。そうしたサービスの拡大によって今までレベニューマネージャーを雇えないような小規模な施設でも手が届くようになりました。チェーンや大手の施設はさらに高度なことをするために社外からの知見を補うことも可能になり、他社に差をつけようとしています。
特に変化することや今までない考え方や手法は社外から取り入れてしまう方が手っ取り早いことも多いです。外部からだからこそできるフラットで効果的な対策が取れるのも外部委託のメリット。
私たちは狭義のレベニューマネジメントにとどまらずDXや人材開発、業務効率改善、SNS活用、Webの支援など幅広いお手伝いをしております。まずはお困りの点や不安、悩みをお伺いして各種ご提案をさせていただきます。
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